二代目恋川純 、取材後記

2817

今回の取材をする直前、YouTubeにアップされていた、21歳の二代目恋川純のインタビュー映像を見た。年齢からすればおそらく、先代座長で兄の恋川純弥が劇団を抜けて間もないころ。いつ兄が戻ってきてもいいようにと、座長の席はあけたまま、劇団として活動していた時期にあたるはずだ。映像のなかの二代目恋川純は、化粧をしていない素顔のままだった。それまで舞台で化粧をした顔しか観たことがなかったから、さっぱりと好青年な素顔が新鮮に映ったことと、ひとつひとつの質問に慎重に誠実に答える様子に、舞台から感じる熱さの裏側にある、繊細さのようなものが印象に残った。

2020年7月3日、インタビューのために三吉演芸場の楽屋におじゃました。29歳の二代目恋川純は、あの映像のときと同じように素顔で現れて(こちらが素顔で撮影をお願いしたからなのだが)、端正な顔立ちは変わらずに、けれども21歳の映像のときよりもずっと頼もしさが増していて、よい意味で別人のようだった。

座長になって6年、以前は両親が担っていた劇団の経営も引き継いで、現在は太夫元でもある。看板を背負うことが、こんなにも顔を変えていくのだと思った。そして家族も増え、3人の子どもの父親でもある二代目の言葉の端々からは、いかに子煩悩であるかが伝わってきた。

関連記事