第3回 寄ると触ると大ゲンカ?!

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座長になって9年目。兄(小泉たつみ)と二枚看板で劇団を牽引する。タイプの違う、それぞれ男前な兄と弟。そして、しっかり者の姉(辰己小龍)。おそらく仲のいい姉兄弟であることが、観ている側にも伝わってくる。そのことも、劇団の人気を支える大きな理由のひとつだろう。

「子どものころはね、寄ると触ると大ゲンカでしたけど。兄とも姉とも。とりあえず、僕が全部悪いんですよ。めちゃくちゃわがままで、もうもう悪い子やったんですよ。いまは違いますけどね。優しいわけでもないですけど、めったに怒らないですし、子どものときみたいではないです」

いまは兄弟喧嘩も「ほぼほぼ」しない。役者としての兄を、とても尊敬しているという。

「どんな頭してんのやろ、って思います。僕にはできない。すっごい努力して、好きとかだけじゃこんなにできないやろって思ってます」

座長として、ふたりの役割分担はどう決めているのですか?

「毎月の演目は、主に兄貴が決めてます。ふたりでごにゃごにゃ言いながら決めるときもあれば、兄貴がひとりでガーっと決めるときもあるし。舞踊の振り付けにしても、そのときの流れで、ちょっと決めてって言われたら僕がやったり。ファンクラブのことは主に僕が担当したり。役割分担ははっきり決めてるわけではなくて、その時々で変わってくる感じです」

座長になる前と後で、変わったことは?

「もともと、どうやったらカッコよく見えるだろうかとか、いろんなことを考えるんですけど、座長になって一番最初に考えたことは、どうやったら座長に見えるだろうか? ってことですかね。たとえば登場の仕方だったり、お芝居のときの出で立ちとかも。これは座長が着る着物じゃないなと思ったら、衣装屋さんに買いに走ったり。もしかしたら、外から見たらさほど変わりはないのかもしれないですけど、自分のなかで一本筋が通る気がするので、そういうことは気をつけたりしました。ものすごく気分屋なので、これでいける!ってときもあるし、このままじゃいけない!って、いきなり火がついたようになるときもある。波がすごいんですよ。基本、舞台に出てるときは、一番高い波なんですけどね。舞台の間は、1秒も手は抜いてないです。1秒も、です! 間違えるときはありますけど(笑)」

前回の関東公演は、2019年。以来、コロナ禍に突入してからは初めての、2021年の関東公演だった。

「いままでにない感じですね。約3カ月間、すごいハードなんですけど、毎年、いい思い出ばかりだなとか、ハードなぶん楽しかったなとか、お客様の支えがあってこそだなって思うんですけど、2021年はそれ以上に、めっちゃ応援していただいてるってことを常に感じてました。送り出しもないんですけど、気持ちがそれ以上に伝わるっていうか。すごく。さらに頑張ろうって、観に来ていただいて絶対に損はさせないようにしようって、いままで以上に思ってました。動員人数は前回より全然少ないので、劇場さんには申し訳ないんですけど、応援してくれてるっていう、支えてくれてるっていう空気はすごく感じてます。頑張れたのは、お客さまの応援があってこそだなと思いました」

「たつみ演劇BOX」は、毎年12月は劇団としての活動を休みにする。大衆演劇界では珍しい。

「父が亡くなったのが12月7日で、一周忌、三回忌のときに追善公演をさせていただいたんです。たくさんの方に来ていただいたので、そのお返しに、挨拶がてらいろんなところにお礼に行くので、12月を休みにしたときがあったんですよ。舞台をやってたら、12月7日って必ず休めるわけじゃないじゃないですか。だったら、毎年12月はお休みにして、12月7日はお墓参りに行って、家族でご飯食べようかってことで休むことにしました。僕ら休みの少ない世界なんで、1カ月間の休みって、結構いいと思ってます。あんまり縛りつけると、若い子も精神的に厳しいでしょうから、その月は家で何しててもいいよって言ってます。それでもやる気もある子は、稽古に行ったり、カツラつくりに行ったり、時間があるからこそやろうっていう子もいます。いい舞台を続けていくために、こういう休みもいいんじゃないかなと思ってます。僕や兄貴は休みといってもゲストに出たり、1カ月まるっと休むわけではないですけどね。休みの日は、最近は家で料理つくったりもするんですよ。YouTube見ながら」

(2021年10月12日 三吉演芸場)

取材・文 佐野由佳

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