第2回 コロナのおかげで

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5月16日から6月いっぱい、梅田呉服座は長丁場でしたね。

急きょ、1カ月増えたんです。自粛期間に荷物も全部仕分けして、これなら半月分くらいの舞台は大丈夫っていう厳選した荷物を運び込んで、そのなかで舞踊ショーも芝居も全部決めてたんです。そしたら6月も、ってことになって、これはヤバイぞと。

荷物減らしちゃったから!

舞踊ショーの着物も、あれやろうかっていっても、持ってきてません、っていうのがしょっちゅう。じゃあ、あるもので新しく見えるようにするには、どうしたらいいか工夫したんですよ。

着流しで艶っぽく。

たとえばどういうことですか?

黒の無地の着物も、今まで普通に着流しに帯をしてたのを、中に赤い着物を重ねて片肌脱ぐだけで、全然違うものに見える。そこに、髷(まげ)のカツラに女形の帯締め、帯揚げみたいなのをキュッと巻いたりして合わせると結構豪華になったり。刀を持っていたのを扇子に持ちかえたり。いろんなことを組み替えてやると、新しい雰囲気のショーになるんです。

袴踊りで端正に。

減らしてみるもんですね。

荷物が減れば、そこにかかっていた経費をほかのことにまわせますよね。みんなでお揃いのカツラつくろうよとか。お客さんに楽しんでもらうことに使える。だったらどんどん減らしていこう、ってことになったんです。じゃないと、新しいものが増えても、何も変わったように見えないんですよ。古い着物があると着てしまいますからね。思い切って、これだけ古いものは捨てようってことにしたら、お客さんも、うわ、着物が変わったねと思ってもらえる。さらに、前からあった着物も、新しいものが参加することによって違うものに見える。そういうことにこの3カ月間で気づかされて、とても勉強になりました。

群舞の着物も工夫を重ねて。

災い転じてなんとやら、ですね。

ほんとにコロナさまさまです、マジで。自分自身が、二代目恋川純っていうブランドをもっと強く持てばいい。いい着物を着たり、いいものを持ったり、派手なことをしなくても、自分ひとりがいれば、無地の着物でも羽織って、扇子の一本持たせてくれれば、どこでやっても、そこに何十人、何百人のお客さんがついてくる役者にならなきゃって思う気持ちが、今までよりすごく強くなりました。劇団をつぶすわけにはいかない。今いる人数でできることを増やしたいですから、座員たちをもっと育てていかなきゃっていう覚悟も完全にできました。こんなことがなかったら、何も変わらなかったと思います。

送り出しができないぶん、舞台で記念撮影タイム。

取材・文 佐野由佳

【二代目恋川純 インタビュー連載】
第1回 いろんなものを捨てました!
第3回 しからずんば、ぬ〜ん
第4回 荷物をまとめた「13の夜」
第5回 小純が純になったワケ
第6回 努力の人
第7回 父の教え
第8回 座長二代目恋川純ができるまで
第9回 おしゃれな最後

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