第12回 家族のはなし

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ご結婚されたのはおいくつのときですか?

20歳のときです。(奥さんは)役者ではないです。結婚するときの条件が、舞台には出ません、だったので(笑)。

若いから、両親(初代恋川純、鈴川真子)もむっちゃ反対してました。奥さんは年上だし、劇団もものすごいお客さんが入ってた時期だったので、まあ、商売的な言い方すれば、いい年頃じゃないですか。結婚したらダメージだっていうのもあったんですよね。その反対されたなかで、劇団のなかに入って、僕の身の回りのことを全部やってきたんで、苦労もあったと思います。

最初は帯のことも何も、全くできなかったですが、いまは僕のことはひとりで完璧にやってます。昔は、僕の帯は母親がしてたんですけど、奥さんは裏方をやってる合間を縫って着付けの免許も取って、いまは奥さんしかできない帯の形があったりするんです。ゲストのときも一緒に行きます。トークが終わって戻ってくると、お客さんの盛り上がりからして、次の踊りはこの着物じゃダメなんじゃないの?っていって、いっぱい着物出して待ってたりしますから。すごいなあと思って(笑)。

息子(恋川桜奨 こいかわおうすけ)は、ものすごい僕のことが好きで、自分の体の一部みたいに思ってるんですよ。こうやって横浜と大阪で離れてるときなんか、電話するたびに「今日、帰ってくる?」って聞くんです(笑)。最近、大きくなってきて、だいぶましなんですけど、3歳くらいのときは、夜ちょっと役者仲間と会う約束とかしてても、しがみついて出かけられない。行かなかったことありますよ、ごめん無理やわって。

娘たちもね、むっちゃかわいいですよ。息子は舞台も大好きだし、立ち回りも三味線も、本人もやりたいといっているので、できる限りのことは教えてあげたいです。だから一緒にまわってもいいんですけど、学校も行きたい。友だちもいるし。そのぶん、離れた場所の公演のときも、帰れるときは大阪に帰ってます。僕も、新幹線に乗ってひとりで移動してる空間が好きなんですよね。パソコン開いて台本書いたり、映像見たり、いろいろアイデアが浮かぶ貴重な時間です。

うちは両親もすごく仲がいいので、それはありがたいです。いまや、奥さんとうちの母親も、一緒に僕の悪口言うくらい仲がいいんで(笑)。お互いの苦労もわかりあってるから、うまくいくんだと思うんですよね。だから僕は気が楽で、何の心配もしてません。

(2020年7月3日 三吉演芸場にて)

取材・文 佐野由佳

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