第1回 いろんなものを捨てました!

4998

初日、かなりお客さんがいらしてましたね。

思ったより来てくださって。昼の部夜の部合わせて130人くらい。前回(2018年7月公演)は、初日に、昼の部だけで100人くらいでしたから、それに比べたらもちろん少ないですが、この時期、うれしかったです。

舞台の時間が短くなっていますね。

以前は3時間の舞台が、いまは新型コロナの感染対策で2時間半。でもお値段は%$#(ムニャムニャごまかす)なままですが。送り出しもできませんが、お客さんの様子をみて、みんなに『あれ、踊れるか?』って聞いて、予定にはなかった曲を短めに入れたりしますね。僕が口上で、しゃべりすぎるとできないんですけど(笑)

ラルフローレンが似合う、素顔もハンサム。

口上はいつも場内大爆笑です。

あるときからちょっと何かがおかしくなってですね、すごいしゃべりだしたんですよね。もう無理です、これ以上しゃべらないでくださいって、座員にとめられることもよくあります。

自粛期間中はどのように過ごしていましたか?

4月6日に緊急事態宣言が出て仕事ができなくなって、まず一発目にお金のことで悩みました。無収入になるわけで。1週間くらいはずっと、電卓片手にどうしようって感じでした。

再開のめども立たなかったですしね。

以前は父(初代恋川純)が太夫元(経営者)でしたけど、いま劇団の経営も僕がやっています。両親にも僕が給料を渡してる状態なので、申し訳ないけど、一緒にしんどい思いしてよって頼みました。僕もいまは給料なしです。

片足立ちは得意、ブレない自信あり。

座長はつらいですね。

家のお金はもちろん劇団とは別なんですけど、これまで僕の前で通帳とか開いたことなかった奥さんが、今回、通帳を広げて、最悪、劇団が回らなくなったときは、いま住んでるマンションを売って自分の実家に移れば、劇団はなんとかできる。それをしなくても、3カ月くらいは心配しなくて大丈夫だからと報告してきたんですよ。僕がいうのもなんですけど、すごいなと思って。

まさに内助の功。

これからどうしようかってことを、1週間くらい夫婦で話してたら、子どもが『最近、お金の話ばっかしてるな』みたいなこといいだして。ふたりで、あ、あかんてなって。でもうちの息子(子役恋川桜奨・おうすけ)は、すごい劇団が好きなんで、ちゃんと話したら『なるほどね』って感じだったんですけど。あとは奥さんと、覚悟を決めればこの話はしなくていいねってことで、それからはずっと笑って過ごしてました。

肉じゃないです、筋肉です。肉もありますけど…。

移動するだけで経費もかかりますしね。

再開したとしても人を雇う余裕はないんで、いつも10tトラック2台で移動してたんですけど、1台減らせばトラック代も荷物運びのバイトさんも半分ですむ。僕自身もですけど、座員のみんなにも制限かけて荷物を減らさせました。

はからずも大断捨離でしたね。

今回も、僕は衣装の箱を31個持ってきてるんですけど、本来は60個あるんです。昼の部夜の部、個人舞踊の衣装を全部変えても1カ月いけるくらい持ってる。1カ月の間に同じ着物は着ません。毎日見に来ても、違う着物が見られるように、1回着たら、着ました、っていう箱に入れて直しちゃうんです。3月の木馬館(東京・浅草)、4月の篠原演芸場(東京・十条)までは、60個全部持って移動してたんです。それを大幅に減らしました。

劇場が閉まっている間、動画配信もされていましたね。

動画の編集も勉強したんです。篠原演芸場の方と相談して、木馬館で撮影した舞台を編集して配信しました。見られなかったお客さんもいますし。劇団の助けにもなりますからね。


プロフィール&アンケート

二代目恋川純(にだいめこいかわじゅん)
1991年3月28日生まれ。

初舞台はいくつのとき?
自分の足で立って出た初舞台は3歳。親に抱かれて出たのは0歳のとき。どっちも全然覚えてません。

主な活動エリアは?
関西方面を中心に、ときどき関東。

得意な演目は?
三枚目の役で演じるお芝居。お客さんと一緒に楽しめる感じが好きです。

仲のよい役者さんは?
小泉たつみ座長(たつみ演劇BOX)、小泉ダイヤ座長(たつみ演劇BOX)、桜春之丞座長(劇団花吹雪)、三代目桜右之介さん(劇団花吹雪)、桜彩夜華さん(劇団花吹雪)、里美たかし座長(劇団美山)。兄弟みたいにかわいがってもらってるのは、都若丸座長(劇団都若丸)、大川良太郎座長(劇団九州男)。

もらって嬉しい差し入れは?
水かビール(糖質オフ)。

いま欲しいものは何ですか?
舞台用のマイク。買いかえたいです。マイク貯金をしていたんですが、コロナによってほかに回さざるを得なくなってしまいました。
あとは、両親、姉、家族みんな一緒に住める家。稽古場もあって、座員の部屋もあって、っていうのが夢。一度、希望を全部伝えて見積もってもらったら、2軒分の費用がかかりますと言われました。ざっと1億3千万円。無理ッス。

取材・文 佐野由佳

【二代目恋川純 インタビュー連載】
第2回 コロナのおかげで
第3回 しからずんば、ぬ〜ん
第4回 荷物をまとめた「13の夜」
第5回 小純が純になったワケ
第6回 努力の人
第7回 父の教え
第8回 座長二代目恋川純ができるまで
第9回 おしゃれな最後

関連記事