コロッケおまけ!からの駆け落ち?

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大衆演劇界、最高齢太夫元(たぶん)、

紅葉子さんに突撃取材@浅草木馬館 その2

いまは関東を活動の中心にしている一見劇団だけれど、紅葉子太夫元の出身は兵庫県姫路市。

実家は大衆演劇とは無縁のお肉屋さんという。

「何で役者の妻になったのですか?」との質問に、まさかのスクープ!

ハチマキかあちゃんこと紅葉子太夫元、ハチマキ秘話に続き、衝撃の恋愛秘話(?)。

「お父さんと結婚したのは25歳。舞台を観に行っとって知り合ったの。姫路にも『あづみパラダイス』(註・いまのセンターのような温泉施設)があったから。自分とこは肉屋やったから、大衆演劇とは全然関係ない。お正月、半ばころかな。芝居観に行こう、って友だちと。そのころは店で白い割烹着てたんやけど、トイレで脱いで、そのまま観に行った。舞台に出てたお父さんと知りおうて。それが縁や。そしたらお父さんが、店にコロッケ買い来てくれて。こんなアホやから、みんなマケたるわー、しまいやからって(笑)。そりゃええ男や。すごいええ男やったよ。素顔もきれい。電話ないから、手紙くれて。結婚したとき、お父さんは22歳。みっつ歳上やから、うちが。お父さんがうちの親にお嫁にくださいって言っても、えらい根性いるわなあ。大衆演劇の役者やからな。やらんって言ったけど、私はもう家出して。飛び出した。大恋愛? 大恋愛いうか(笑)。お父さんのほうが気に入ってくれて。まさか役者のお嫁さんになるとは思わへんわなあ」

結婚したお相手は、役者の人見多佳雄(ひとみたかお)。金(かね)のわらじを履いてでも探せという、姉さん女房。人見多佳雄にとってハチマキかあちゃん(当時はまだハチマキは巻いていないが)は、まさにそんな大金星の姉さん女房だったはずだ。

「お父さんはね、(役者になる前は)関西テレビで働いとって。お父さんのお母さんが大衆演劇の役者やったの。お母さんがいなくなって、どろんして。そこは隠すの嫌やから、はっきり言うわな。お父さんが仕方なく、関西テレビやめて役者になったの。それが運のつきの大衆演劇。だからわたしは、義母さんと一緒に暮らしたことはない。義母さんがね、借金まみれやったんやて。借金払いは、うちのおばあさんがしてくれたんです。わたしのおばあさん。多佳雄やから、たかちゃん、たかちゃんいうて。劇団やるいうことになって、おばあさんが幕もつくってくれて。姫路の手柄山の老人福祉センターで半年間、入場券は100円かな。みなお芝居を団体で観に来よって。それが始まりやね」

昭和39年のことだ。

その後、8人の子宝に恵まれ二人三脚で劇団を営むも、人見多佳雄は昭和59年に房州白浜(千葉県)で公演中に急性白血病で急逝。42歳だった。

「お父さん」との思い出話は切ない、と太夫元。ご仏壇と一緒にいまも旅を続ける。

(2020年9月8日 浅草木馬館)

取材・文 佐野由佳

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