ハチマキは体の一部やね

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大衆演劇界、最高齢太夫元(たぶん)、紅葉子さんに突撃取材@浅草木馬館 その1

「このハチマキ? もうかれこれ50年になるかな」

紅葉子(くれないようこ)太夫元は言った。

御歳81歳。今月、浅草木馬館で公演中の一見劇団を長年牽引してきた、現役太夫元だ。舞踊ショーを司会するスウィングするようなアナウンスも、いまや一見劇団の名物に。一度聞いたら忘れられない。

そんな紅葉子太夫元といえば、ターバンのように頭に巻いた白いタオルがトレードマーク。劇場の入り口でお客さんを出迎えるハチマキ姿は、たまらなくファンキーだ。一度会ったら忘れられない。

毎年、浅草木馬館の4月公演を担ってきた一見劇団なだけに、太夫元のお元気な姿と場内アナウンスの声に、ああ今年も浅草の春が来たなと、まるで季節の風物詩のように心なごむ劇団ファンも少なくない。

しかし今年の4月公演は、緊急事態宣言によりわずか7日で閉幕。その無念をはらすべく、この9月、浅草木馬館に再登場の一見劇団。現在は新型コロナの感染防止対策で、観客の送り出しもお出迎えもかなわない毎日が続く。「ハチマキかあちゃん」こと、太夫元はお元気か? 

場内アナウンスの変わらない声にほっと胸をなでおろすも、ご尊顔を仰ぎたい。昼夜演目替えの熱闘が続く合間を縫って、立て込み準備中の舞台の上に登場した太夫元は、変わらないハチマキ姿。お元気で何よりです!

いろいろうかがいたいことはあったものの、まず聞いてしまった。

「そのハチマキは、いつからしておられるのですか?」

「35歳からかな。血圧高いんですよ、わたしは。30代のときに血圧高くなって、頭が横に揺れるような感じするから、ハチマキしたらしっかりしたんよ。ね? それから、おおかた50年なるわな。(これをしないと)どこも行かれへん。乾いたタオルでないとダメ。乾いたタオルで締めたら、しゃんとする。それは自分の習慣的なもんやと思うけど、自分でええと思うから。病院でも、先生ごめんな、こんな頭で来てな、って言うけど、いいよいよって。先生がそない言うてくれるから。内臓は悪うないし。そやけど、大阪公演行くときに新幹線乗るやん。ハチマキして乗ったら、あらやだ、みんな笑うよな。恥ずかしと思うけど、死ぬヨリましや(笑)。飛行機でもやっとる。男だなと思う。子どもに聞いてください、ヨロシク(註・劇団座長、座員の大半は太夫元の子ども、孫たち)。昔、ここの篠原会長の結婚式のときに、1時間くらい我慢してはずしたけど、ハチマキしてもええかー?って。我慢できないの。寝るときは、はずしてもちゃんと寝れる。これはもう習慣やね。体の一部になってる。ははは」

(2020年9月8日 浅草木馬館)

取材・文 佐野由佳

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