すでに削除した記事のことなので詳細は省きますが、昨年末(2024年12月31日)に公演の感想を書いた記事をアップしたところ、公演を主催した座長から記事を削除してほしいと、突然、Xに投稿があり、その後、インスタライブを通して抗議を受けました。掲載された内容に対する修正依頼ではなく、記事の全面削除をということだったので、驚いてこちらから連絡を取り、結局、その日のうちに記事を削除いたしました。この件について、記事を掲載した側の責任として、また、記事を読んでくださった読者に向けて、わたしたちの考えを伝えておきたいと思いこの記事をアップしました。
なお、座長の名前を出さないのは、今後、このサイトで名前を出さないでほしいとご本人から依頼を受けたことに基づいています。
座長の主張は、その公演は、その日、劇場に来てくれたお客さんのためだけに向けたものであり、記事の内容以前に報道されること自体が不本意で、そもそも取材依頼を受けていない、掲載許可も出していないものをなぜ掲載しているのか、削除してくださいというものでした。
しかし今回の記事は、舞台を観ての感想文であり、事前におうかがいを立てて、許可をもらって掲載するものではないと思っています。もちろんこのサイトでも、役者へのインタビュー記事を掲載する場合は、取材の依頼書を送り、撮影の許可を得て、アップする前に記事の確認をお願いしています。すべての記事に、取材依頼や掲載許可が不要だと考えているわけではありません。取材の内容に合わせて、先方に取材依頼をするのもルールなら、しないこともまたルールだと考えています。
誰もがチケットを買って観られる商業演劇である以上、新聞や雑誌やわたしたちのようなWebマガジンも含めたメディアが、その舞台の感想を書くことは自由であり、書かれたその内容ではなく「書くこと」じたいを否定する権利は誰にもないはずです。取材対象が許可した記事しか載せないようなメディアは、むしろ不健全だと言えます。このことは座長にもお伝えしましたが、世間一般がどうであれ、舞台を主催した自分がイヤだと言っているのだから全面削除してほしいということで、どう説明しても平行線であると判断し削除しました。
しかしいったん掲載した記事を、外部からの依頼で削除することは、メディアとして本来やってはいけないことだと思っています。共感をもって記事を読んでくださった方々に、この場を借りてお詫び申し上げます。大衆演劇ナビは、「勝手に応援しています」と銘打っているように、誰かに依頼されて運営しているわけでも、記事を載せることで広告収入を得ているわけでもありません。取材のための取材をしているのではなく、自分たちが観客として観た大衆演劇のよかった舞台、おもしろかった舞台、いいなあと思う役者の話を記録しておきたい、広く伝えたいという目的のみでやっています。今回も、そういう意図で掲載した記事だったこと、今後もその姿勢は変わらないことをお伝えしておきます。
(2025年1月9日)
文責・佐野由佳
イラスト・ミロコマチコ