第3回 しからずんば、ぬ〜ん

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小さいころは、どんな子どもでしたか?

僕が生まれたときはもう劇団があって、刀さわったり、センスさわったり、棒をくるくるまわしたり。そういうことが、もともとすごく好きでした。子どものころの遊びがそれだったから、いまでも刀をまわすのが得意なんです(笑)。

物心つく前から扇をまわしてきた。

生まれながらの立ち回り好きなんですね。

僕は覚えてないんですけど、刀5本くらいさしてウロウロしてたらしいです。ヤバイでしょ。剣友会の人とかが劇団に来ると、好きすぎて、昼ごはんも一緒、狭いとこに入りこんで、寝るのも一緒に寝てたらしいです。

熱のある舞踊に歓声が飛ぶ。

さぞかしかわいかったでしょうね。

ずっとそばにいると、立ち回りとか教えてくれるんですよ。いろんな話も聞けて、それが嬉しくて。10歳にもなってないころですから、なんでも吸収できるときに恵まれた環境でしたよね。

そのころから、よくしゃべってらしたんですか?

そうですね。ちょっと変わった子だったみたいで。兄貴(恋川純弥)に連れられて遊びに行った先でも、相手が誰でも、自分から寄ってって話かけてたみたいです。

爆笑の口上を楽しみにするファンも多い。

ものおじしない性格だったんですね。

都若丸さんに最初に会ったときも、いきなり顔をじーっと見てたら「何や?」っていうから、「誰?」って聞いたんですよ。「都若丸や」って。すごい波長が合ったんです。

その出会いが今につながっていると。

僕、志村けんさんが大好きで、そのときも若丸さんに向かって「しからずんば、ぬーん」って言ったらしいんですよ。志村さんの昔のコントにそういうのがあって。若丸さんも志村さんが大好きだったから、すかさず「ずっぱぬっぱぬーん」って返したら、僕がものすごい喜んで「面白いお兄ちゃんやな」っていったのが最初だったそうです。僕は覚えてないんですけど(笑)。

化粧をとっても男前な座長。

当時、学校は公演地ごとに変わっていたんですか?

そうです。移動学校でした。しかも舞台をやってると、三時間目くらいには帰らないといけなくて、一緒に給食も食べられない。ひとりだけイレギュラーで。なんだろうあの子、先に帰って、みたいな感じで友だちもできない。なかには声をかけてくれる子や、楽屋に遊びに行っていいかっていう子もいましたけど、あらためて休みの日に遊ぼうかっていうことにはならないんですよね。

毎月、転校は大変ですね。

僕はそれが嫌だったので、いま息子(子役恋川桜奨・おうすけ)にはそういう思いをさせたくないと思って、息子は舞台も大好きですけど、家から通える学校に行ってます。

(2020年7月3日 三吉演芸場にて)

取材・文 佐野由佳

【二代目恋川純 インタビュー連載】
第1回 いろんなものを捨てました!
第2回 コロナのおかげで
第4回 荷物をまとめた「13の夜」
第5回 小純が純になったワケ
第6回 努力の人
第7回 父の教え
第8回 座長二代目恋川純ができるまで
第9回 おしゃれな最後

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