第7回 役者からタレントに

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化粧した役者の顔だけで演じていてもいいのに、あえて素顔を見せているのはなぜですか?

たぶん、ほんとの素顔じゃないからです。ほんとの素顔は絶対見せない。ほんまの素顔は、全然違う人間なんで。しゃべれへんし、一日中、ボーッとしてるし。それを知ってるのは、家族くらいかな。

素顔を見せているのは、役者としてだけでなく仕事をしていきたいから。

いままでやったら、「舞台役者の近江飛龍です」っていう肩書きやったんですけど、これからの時代、何があるかわからないので、タレントにしちゃったんです。「タレント近江飛龍です」になったので、だったら素顔も覚えてもらわなあかんなって思ったんです。ちょうど1年半くらい前、YouTube始めたころから。

踊りとかじゃなしに、コメンテーターとかテレビの仕事が来るかもしれない、あればいいなと始めたんです。いまになってそういう仕事もぼちぼち来だしてるんで。じゃあ、素顔は出しとかなあかんなって。

オレは舞台人だっていうことに執着する役者もいますけど、いまの時代はそうじゃないよってコロナの前から思ってたから。

もっとグローバルに、もっと大きな目で見ていかんといつの日かこけるよって。自分からそうしていかなあかんな、って思ってました。もともと舞台の仕事から始まって、いろんな仕事したかったから。

もの書きもしたいし、映像の仕事もしたいし。エンターテイメントに関わる仕事やったら、何でもしたいっていうのが、座長になったときからあったから。

座長になたっときに、いまでいうYouTubeみたいな映像を、月イチで出してたんです。ビデオ撮影して、会員さん向けに送ってました。そのころから、普段の生活を映したやつとか(笑)。当時は自分で撮れないから、知り合いのテレビ局のディレクターに、ご飯おごるから撮ってって頼んで、編集してもらって。それだけやったらあかんから、お芝居と舞踊ショー収めてVHSにダビングして送ってました。30年くらい前かな? 

月3900円くらいだったと思います。

その当時って、夜の部がないとこが多かったんですよ。お昼だけでもったいないからって、そのまま化粧して撮影してました。街なかとか、山のなかで立ち回りしたり、旅人(たびにん)の格好で電車乗って吊革つかまって。みんなで三度笠姿でマクドナルドに入ったりとか。事前に許可は取ってね。

でもね、半年で終わりました。お客さんが、そこまでついて来れなかったです。時代が早すぎた(笑)。

昔からすっごく型破りだといわれるんですけど、型は破ってないんですよ。舞台には舞台の型があって、そのルールは破らずに違うことしようとするから、あちこちはみ出しちゃう。はみ出ちゃったやつを、ほかのところに持っていく(笑)。17LIVEやYouTubeもその延長にあるんです。

17LIVEでは、さわやかな素顔でハワイから(イメージ)朝配信も。

舞台で倒れられた前と後で、ほかにも変わったことがありますか?

ブレーキをかけることを知りました。それまでは、一回やりだしたらブレーキかからなかったんですよ。舞台だけじゃなくて、いろんなことに対して。とにかく追求せんかったらあかん人間やったんですけど、何ごともちょっと待て、っていうブレーキがかかるようになりました。

舞台やってるときでも、これ以上やったら次の日が持たないとか。やりきったように見せて、ブレーキかけてる。やりきった感まで演じてしまう、っていうのを覚えてしまいました。おもいっきりやってないんだけど、息を荒くしてみたり。60までね、楽しくがんばらんとあかんから(笑)。

(2020年8月29日 堺市自宅特設スタジオにて)

取材・文 佐野由佳

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