どこへ行っても出てるねと言われたい
6月1日から1カ月間、佐賀・龍登園で行った近江飛龍劇団の舞台公演中にも、断続的に「17Live」も「VLOG」も配信は続いた。途中からはなんと、舞台の端に設置したカメラを通して、舞台の生中継を「17Live」のなかで始めた。千秋楽までほぼ毎日。
「舞台の中継は迷いましたが、この新型コロナの感染の目処が立たないいまだから、やろうと決めました」。
観たいけど、劇場にはまだ行けない観客のために。そして、ようやく再開したからには、ひとりでも多くの人に公演を知ってもらい、劇場に足を運んでほしい、その宣伝になればという気持ちも当然ある。正解のない矛盾する気持ちを、近江飛龍だけではない、全国の役者が観客がいまも抱える。
果たして龍登園には、昔からのファンだけでなく「17Live」で近江飛龍を観てファンになったという視聴者がたくさんやってきて、初対面にして旧交を温めた。
「忘れられない公演になりました」
千秋楽の口上で、近江飛龍は語った。
佐賀・龍登園の1カ月は、4月の公演を途中で辞めざるを得なかった、誰にもぶつけられない悔しさに対する闘いの日々でもあったのだ。
リモートで観られるから劇場に足を運ばなくてもいいや、とはならない。毎日のようにリモートで会っていればこそ、生の舞台を絶対に観たい気持ちが募る。
自粛生活、いろいろ思うことはたくさんあったけど、最大の収穫は、こんな近江飛龍に出会ったことだ。
そしてふたたび大阪に戻った近江飛龍の「17Live」は、いまも続いている。
「どこへ行っても飛龍さん出てるね、と言われるようになりたい」という。
YouTube、インスタ、ツイッターに17Live。神出鬼没の配信に、すっかりはまったファンとしては、嬉しいんだけど忙しい。今日もスマホの充電を満タンにして、時を待つ。
取材・文 佐野由佳